耳処とは何か
原文:大王よ。耳処とは何か。これは四大種によって造られた清浄色を指し、その行相を分別する様は先に説いた如し。大王よ。諸法は解脱し、決定して現前に在り。法界の空の如く、施設すべからず。
釈:仏は説かれた。大王よ、耳処とは何か。耳処とは四大種によって生じた清浄な色相であり、その相貌は眼処と同様に四大種の和合によって生ずる。四大種が清浄であれば耳処も清浄であり、そこには微塵の法も得られない。四大が空なるが故に耳処の自性も空であり、四大が解脱しているが故に耳処は本来解脱しており、人を縛る一法も存在しない。大王よ、諸法は本来解脱しており、その解脱の相は至る所に顕現している。真実の法界の空の如く、本来このようであり、人為的に施設されたものではない。
耳処とは耳根を指し、外耳根と内耳根を含む。これらは皆清浄な四大によって成るため、本来清浄色であり、煩悩も染汚もない。清浄とは喜怒哀楽がなく、貪愛・愛楽・厭悪が存在しないことを意味する。耳根が声塵と接触する時、この声を好むとかあの声を嫌うといったことは決してなく、心の作用が存在しない。善悪の心行も存在せず、染汚は心が汚れるのであって耳根は染まらない。耳根を構成する地水火風の四大は空であり、耳処もまた空である。その自体の本性は得ることができない。地水火風の四大種の本性も得られず、耳処もまた得られない。
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