外道が四空定を修め、神足通を得たにもかかわらず、なぜ色相に心を動かし神足通を失うのでしょうか。淫欲心の断除は初禅定と我見断ちの証量が相俟って初めて可能となり、この二つが結合して三果人となり、欲心を断ずることができるのです。ただ初禅定と四禅八定を修めるだけ、あるいは単に我見を断つだけでは、淫欲心を断つことはできません。故に外道は禅定と神通を得ていてもなお色相に心を動かし、その後禅定と神通を全て失うのです。これを見れば、我見を断つ智慧なくして禅定のみでは淫欲を断ち切れないことがわかります。
かつて経文に記されたように、禅定と神通を得た者が色相に心を動かせば、念いが生じた瞬間に神通と禅定を退失し、来し時は飛行し、帰りは歩みとなる。それは初果を証する功徳なく、ただ禅定のみを有していたためです。淫欲を断ずるには我見を断ち初果を証する功徳に初禅定を加えねばならず、禅定のみでは足りません。故に初果の分証解脱の功徳と受用は非常に大きいと言えるのです。
提婆達多も同様に我見を断たずに神通を修めて天界に昇りましたが、天華を盗む念いを動かした瞬間、神通はたちまち消失し、天から墜落しました。もし初果を証した後、初禅定を具え、さらに神通を得るならば、それは三果となり、もはや邪念を動かすことなく、戒を犯すこともなく、神通を失うこともないのです。
4
+1