楞厳経における世尊による世界の起因の説

衆生のすべての無明は無始のものであり、すべて無始の無明と呼ばれ、無始劫以前から存在するものである。このように、無始無明は主にどの心体と相応するのか。第七識である意根と相応する。楞厳経において、世尊は説かれた。無始劫以前、混沌が未だ開けていない時、第八識と意根のみが存在し、三界世間もなく、五陰世間もなく、六識もなかった。その時すでにすべての無明は存在しており、後天的に生成された無明は一つもない。よって、すべての無明は意根の無明であると言う。楞厳経のこの部分は世界の起因を説明しており、これ以前には世界は存在しなかった。無明によって意根が外に向かって攀縁し、初めて世界が形成された。世界が存在しない時には五陰身と六識は存在し得ず、五陰身は必ず居止する所依処を必要とする。世界が生起する時も、無数の劫の時間を経過するのである。

なぜ虚空が同一であるのか。もし異なる虚空が存在し、一つの世界に一つの虚空があるならば、虚空には境界が生じ、境界があればそれは虚空ではない。これが最初の五陰世間が形成される過程である。これ以前は一片の混沌状態であった。何が混沌としていたのか。意根が混沌としていたのである。その時には宇宙虚空も天地世界もなく、ただ二つの識心のみが存在した。意根が念を起こして外に向かって攀縁する時、それは無自覚的で、非常に微細なものであった。そこで第八識が意根に随順して次第に虚空と世界、そして後の五陰世間を展開させたのである。

無始劫以前に虚空も世界も存在しなかったならば、第八識と意根に時間と空間の概念はあったのか。此処の意根と彼処の意根は存在したのか。第八識と意根に来去はあるのか。一つの場所から他の場所へ移動できるのか。第八識と意根に時間と空間の概念がないならば、神足通がどのようなものであるか、我々は知るべきである。諸仏国土へ往生する時、なぜ刹那の間に到達できるのか、これもまた知るべきである。