言語音声の生起には一定の条件が必要である。まず心に覚観が生じ、表現しようとする欲求が起こる。これにより風が臍に触れ、呼吸が臍から喉・舌へと順に触れるに至って、言語音声が発現する。音声の大小は風息の強弱に関わり、風息の強弱は覚観の軽重に連動する。これは意根と五俱意識の情動の強さ、および心所法と深く関わる。夢中においては第八識・意根・独頭意識のみ存在し、五俱意識は活動せず、身根もほとんど機能しない。意根と意識に表現意欲が生じても、言語音声は形成され得ない。しかし音声がなくとも相手の伝達内容を理解できるのは、意根が言語音声を介さずに相手の意根の思惟を直覚するためである。意識は夢中において色身の束縛を受けないため、小神通を発現し、相手の意図を理解し、天地を自在に往来することが可能となる。
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