なぜ甚深な禅定があれば、心は大自在を得ることができるのでしょうか？

禅定はまた心を一処に制することを指し、心を一処に制すれば何事も成し得ないことはない。外道も心を一処に制することができ、阿羅漢や辟支仏も心を一処に制し、諸大菩薩も心を一処に制し、諸仏はさらに心を一処に制して、すべて心を自在にし、相応するままに意のままに事を成し遂げる。しかし禅定の深浅、智慧の違い、心量の差により、心の自在の程度は異なり、成就する事業も異なる。

一般に禅定を理解する際、定は束縛であり、身体の頭や手足を縛り、心の自由な想像を制約すると考えられる。しかしもし身体が束縛されずに放浪し、力が分散すれば、一切の法を変化させる強大な力を得られない。心が制約されず八方に思いを巡らせれば、一切の法を指揮創造する強大な力を得られない。これでは身心は永遠に環境に束縛され、自在どころか大自在には程遠い。

禅定修行の初期段階では身体も心も制約を受けるが、次第に深化するにつれ四大が変化し気血が通じ、地水火風の束縛から解放され軽安自在を覚える。同時に心も色身や境界の束縛を離れ、恬淡快楽を増し、ますます自在と力を得る。自在と解脱を得る心とは何か。最初は六識心であり、五識が内外五塵境の苦痛から、意識が法塵の煩悩から解放される。次第に意根が色身内外の境に縛られず塵境に攀縁せず一処に集中し、心力が強化される。この時意根が求める境界が現前し、如来蔵がこれに随順して護持する。意根は六識と如来蔵を以て一切の法を改変し、世間を変化させる。しかし禅定が深まるほど六識の作用は減じ、遂には六識を用いず意根が如来蔵を帯びて天地を自在し、十世古今を縦横に遊行し、一切の束縛を離れ大自在を得る。これが解脱である。故に解脱は寸分たりとも禅定と大智慧を離れず、戒律もまた不可欠である。戒律は当初身心を束縛し自在を制限するが、その「自在」とは実は不自在であり、悪業を造り苦報を招く。一旦戒律に慣れれば悪業を造らず、戒律の存在すら感じない真の自在を得る。

交通規則の左側通行を例にとれば、慣れない間は不自由に感じるが、習慣化すれば自然に従い、かえって安全を保障される。過去の「自在」は実は危険な不自在であった。全ての法則は不慣れな時は束縛に感じるが、習慣化すれば自在となる。修行とは衆生に善き習慣を培い、悪習を改めさせることである。善習は解脱であり、悪習は束縛と苦果をもたらす。

五戒や菩薩戒を忌避する者もいるが、仏陀は戒律を別解脱戒と説く。一戒を守れば一つの自在を得、一つの悪業を減じ身心を解脱させる。戒律に慣れればその存在を感じず、戒を超越した自在を得、矩を超えずして意のままとなる。

諸仏菩薩は永劫に戒を守り、既に戒律の束縛を離れた。故に仏菩薩は戒を守らずとも破らず、仏は無戒者であり最大の自在解脱者である。凡夫は戒を受持する修行段階を経て、一旦慣れれば仏菩薩同様の自在解脱を得るのである。