世の中には、表裏のある行動をする人々がおります。あるいは言うことと行うことが一致しない者もいます。表面的には人に錯覚を与えるのは意識の考えであり、裏で実際に行っていることは意根の思想に沿っているのです。口にするのは意識の考えであり、行うことは意根の思想に沿っているのです。ですから普段人と接する際には、相手の口先だけを見ず、その人の意根の内なる本当の考えを観察する心掛けが必要です。口先では巧みに言葉を並べながら、実際の考えはそれと正反対であるような者は、極めて偽りが多く不誠実な人物と言えます。
仮にある人物が何かを与えようとする場合、それが真実与えるつもりなのか、あるいは偽りの意図や目的があるのかを観察しなければなりません。仮に意根が与えることを望まない場合でも、行為としては意識が与えざるを得ないならば、後々良からぬ結果を招く可能性があります。その場合、与えたものを取り戻そうと画策するでしょう。我々が他人のものを望む場合にも、相手が真に受け入れる意思があるか、意根が同意しているか、あるいは意識だけが受け入れようとし意根は同意していないかを見極めねばなりません。表面の意識が示す様子だけを信じるのではなく、その内なる意根を観察すべきです。意根は主導する識であり、人の思想の本質を表し、真の修養の程をも示すものなのです。
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