俗語に「歯を磨くのではなく、頭脳を磨くべきである」と申します。この言葉の内包する意味は何でしょうか。頭脳と歯はそれぞれ何を象徴し、両者の関係はどのようなものでしょうか。
世の人が言葉を発する時、歯を動かすことで言語が生じます。しかし言語は意識心の機能であり、表面的で軽薄なもので、必ずしも智慧を含むものではありません。一方、頭脳は思考が生じ智慧が宿る場所であり、真の智慧を表します。深遠な智慧と見識は意根に位置し、身・口・意を指揮する、あたかも総司令官の如き存在です。総司令官が動けば、歯などの全軍が命令に従います。故に意根という総司令官の智慧を成長させ、頭脳を磨くことに精力を注ぐべきであり、工兵たる歯を使った口先だけの対応は無力で、根本的な解決には至りません。
意根を磨くことが根本です。根本が完璧に磨かれれば、一切の法は自然と整って参ります。口先と言葉だけで対応しても、根本問題は解決できず、意根が磨かれなければ究竟の境地に至りません。鋭い歯や豊かな言葉、巧言令色を持つよりも、智慧ある頭脳を備えることが遥かに勝る所以です。畢竟、頭脳こそが真の自己を表し、歯と言葉は真の智慧を代表するものではありません。頭脳なき者は発する言葉が即ち悪業となり、自らも気付かず、果報を受けてもその由を知らず、対処も救済も叶わぬ所以です。
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