福徳はどのように得られるのか

福とは、他者や集団のために行動し、代償を払うことによって得られるものです。外に向かって施しを行えば、必ず報いが返ってきます。

他者に利益をもたらす外への施しが徳となります。仏法ではこの二者を常に結びつけて説きます。ただし世俗法と仏道修行における福徳には差異があります。例えば雷鋒のような善行は世俗法でのみ享受可能な福徳です。仏法に善業を植え付けず、因縁を結ばない限り、仏法上の利益を得ることはできません。

仏道を学ぶ者は世俗法と仏法の両方に福を植えます。三宝に帰依し供養し、戒定慧を勤修することは福徳双修です。この福徳は世俗と仏法の両方で活用できます。

福徳は仏道修行を迅速に進め、道業を急速に増進させます。福徳は仏道成就の基礎であり、道糧・資糧です。福徳なくして修行は成就しません。菩薩が六波羅蜜を修める際、最初に布施修福を行う所以です。悟前悟後を問わず、初地入り後も布施を続けることで道業は向上します。福徳の重要性はここにあります。

布施の本質は自己の慳貪心を施すことです。慳貪心あれば貧窮の果報を免れず、餓鬼道に堕ちます。餓鬼は飲食不能の苦を受けますが、これでは菩薩道を行じえません。

菩薩は大福徳者であり、人天に転生して菩薩を演じます。人王・天王・転輪王・大鬼王となり、慈願なき限り三悪道に堕ちず、これらは累劫の布施行の結果です。

慳貪心は菩薩心と相容れず、これを抱く者は菩薩足りえません。禅定工夫も虚しくなります。菩薩を志すならまず布施行を実践し、福徳資糧を積んで自らを荘厳すべきです。

布施を修めた菩薩は常に衆生を利する念を抱き、施しを習慣とします。一日でも布施を欠けば心穏やかならず、未会の衆生に対しても「何をもたらせるか」と慮ります。このような菩薩は大福徳を具え、物質的に恵まれつつ衆生の指導者となります。布施行を軽視せず、実修として日々省みるべきです。「今日布施したか」との自問が道業を急速に進展させます。