意根の考量は本質的に利益を求め害を避けることである

末那識は一切の法に対して利を求め害を避ける考量が可能でしょうか。この識が無始劫以来経験してきた人事物理は、経験と記憶として積み重ねられ、心の中に堆積します。それゆえ後世また後々の世において同じ人事物理に遭遇する際、過去の経験と記憶に基づき選択的な対応行動を起こし、結果として利を求め害を避けることになるのです。

我々は知るべきです。末那識は常に業種と相応するものであり、末那識が経験したことは全て種子として残り、末那識の心行は全て種子と相応することを。末那識が種々の衆生に転生する時、末那識の心行と選択などは現前の衆生と相応し、自らがこの種の衆生であると認識し、自らが他の種の衆生となり得るとは考えず、特例を除いてはそうなることを。

末那識が人間に転生する時、心行と行為は主に人間と相応すべきですが、前世の非常に強い習性、聖人たる習性、畜生たる習性、餓鬼たる習性などを完全に排除するものではありません。ただし人間の習性に最も相応します。業種が現行する時、末那識はより業種と相応します。例えば重大な悪業の縁が熟せば末那識は悪と化し、重大な善業の縁が熟せば末那識は善と化すのです。他者から見れば不可思議なことでもあります。

よって末那識が経験する一切は自らの経験と記憶となり、縁に遇えばそれらの経験と記憶を放出し、自らの選択に影響を及ぼす、あるいは絶対的な影響を与えると言えます。結果として利を求め害を避けることになり、非常に自信に満ち、外界の要因による干渉や妨げを許さないのです。