衆生無辺誓い度す
煩悩無尽誓い断つ
法門無量誓い学ぶ
仏道無上誓い成す

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日常開示

2020年09月07日    月曜日     第1 回の開示 合計2600回の開示

黒匣子の中の生

まず、ブラックボックスの出現について説明いたします。ブラックボックスが脳の勝義根に位置し、身根の一部を成すものであるならば、それは身根の形成とともに出現するものでございます。身根は第七識と第八識が母胎に結生し、次第に形成されてまいります。第八識が母胎内で約四ヶ月をかけて身根を形成する過程において、脳の勝義根の原型がほぼ具わり、ここにブラックボックスが成立するのでございます。

この時期に胎児が外界の声塵と触塵を耳根及び身根を通じて脳の勝義根にあるブラックボックスに伝達すると、これらは内相分の声塵と触塵となり、ブラックボックス内の耳勝義根及び身勝義根と接触いたします。これにより耳識・身識・意識が生起し、母胎内外の音声や母胎内の温度感覚、自らの触覚・痛覚・圧迫感などを了別する能力が具わるのでございます。ただし胎児が認識するこれらの法は、あくまで自らの勝義根ブラックボックス内の情報に他ならず、母体外の情報でも胎児自身の浮塵根が感知する外塵でもなく、すべて勝義根における内声塵と内触塵でございます。

勝義根が更に発達を遂げますと、香塵と味塵が浮塵根である鼻根と舌根を経由し、鼻勝義根と舌勝義根に伝達され、内香塵と内味塵となります。これらが勝義根中の鼻根・舌根と接触することで鼻識と舌識が生起し、母胎内の香りや味を弁別するのでございます。これも実際には胎児自身のブラックボックス内の内香塵・内味塵によるものでございます。胎児のブラックボックス内に内色塵は存在するのでしょうか。確かに存在いたしますが、根と塵が接触しても眼識は生起せず、内色塵を見ることはできません。何故なら母胎内には光明がなく、眼識の生起に必要な九縁のうち光明の縁が欠如しているためでございます。

胎児の身根が完全に発達し、勝義根も円満に具わると、ブラックボックスの機能が十全となり、十月満胎を経て母胎を離れ嬰児として誕生いたします。出生直後の嬰児はまだ目を開くことができず、数日を経てようやく目を開き、自らのブラックボックス内の内色塵をぼんやりと認識するのでございます。この時点で嬰児の内六根・内六塵・内六識の十八界が具わり、人としての相が円満となるのでございます。

——生如法師の開示
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