(一)原文:かくの如き我聞けり。一時、仏は舎衛国の祇樹給孤独園に住まわれた。その時、世尊は諸比丘に告げられた。「我が宿命を憶念し、未だ正覚を成ぜざりし時、独り静かなる処に在りて、専精して禅思に勤しみ、かくの如き念を生じき。『世間は入り難し。所謂、生あるも老あるも、病あるも死あるも、遷るも受生するも。然るに諸の衆生は、生老死及びその所依について如実に知らず』」
原文:「我はかくの如き念を作す。『何の法あるが故に生有あるか。何の法の縁あるが故に生有あるか』と。即ち正思惟して、無間等の知を起こし、『有あるが故に生有あり、有の縁あるが故に生有あり』と知りき。復た思惟して、『何の法あるが故に有有あるか。何の法の縁あるが故に有有あるか』と。即ち正思惟して、如実の無間等の知を起こし、『取あるが故に有有あり、取の縁あるが故に有有あり』と知りき」
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