水界と水界性は皆不可得なり
原文:大王。この水界相は、生ずるに来処なく、滅するに去処なし。生時本より空なり、滅時もまた空なり。自性空なるが故に、男相もなく、また女相もなし。ただ言葉の説き示す所のみ。かくの如く水界と水界性は、皆不可得なり。ただ仏の正智のみ、よく了知し得る所なり。
釈:仏は説きたまう、大王よ、この水界相そのものが空であり、その自性もまた空である。もし自性が空でなければ、水が生じる時には来処があり、水が干きる時には必ず去処があるはずである。しかるに水界が生じる時、来処なく、滅する時にも去処なし。生じる時、水界は空であり、滅する時も水界は空である。
水界の本性が空であるが故に、水界性そのものには男相もなく、女相もない。しかし水界が我々の色身を形成する時、男相と女相が生じる。されば我々の男女相もまた虚妄なる空である。ただ言葉を用いて男女相を顕わすのみで、実際の男女相は存在しない。よって水界および水界の性質は皆不可得であると説くのである。これらの道理は仏の深甚なる大智慧によってのみ、ことごとく了知し得るのである。
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