意根の聡明さに頼っても業縁業報からは逃れられない

生まれながらにして危険を避ける能力を具えるのは意根の働きであり、意識心は出生当初は全く理解しておらず、一生涯を通じて相応の環境に触れて学ぶことがなければ永遠に何事も理解し得ない。しかし意根は生来の生存を求める本能を有し、意識の導きや影響を必要としない。

畜生の意根にも聡明な面があり、生来の能力も少なくない。彼らが初めて危険に遭遇した際の反応は、誰にも教わらずとも理解し、初めて地震を感知するや予感し、避難方法を知る。これらは意根の聡明性によるものであり、他に理由はない。

しかし意根が如何に聡明であろうとも、業縁を逃れることはできず、業報を避けることは叶わない。非想非非想天に生を受けて善報を享ける者であっても、意根がこの境地に執着するが故に、命終して悪報が現前すれば三悪道に堕ちて苦を受ける。意根は微塵も主導権を握れず、回避の術もない。

いかなる者の意根が聡明であろうとも、悪縁が現前すれば死を免れず、如何なる手段をもってしても回避不能である。第三者から見れば完全に回避可能な事故と思われようとも、業報に直面する者には選択の余地など全くなく、思考する機会さえ与えられずに生命は消滅する。

いかなる者の意根が聡明であろうとも、業種と福徳の不足により、極めて平易な法義すら理解できず、正しく解釈することも、理に適った思惟をすることも叶わない。誠に遺憾なことである。いかなる者の意根が聡明であろうとも、高官厚禄を渇望しても、前世において福徳を修めなかったが故に一切の善報は彼らを素通りし、一生を苦悩し、生涯を怨みに費やすのである。

いかなる者の意根が聡明であろうとも、前世における仏法修学の期間が短かったが故に、一生を懸けて勤勉に仏法を修学し、精進を続けても、我見を断つという小乗の法さえ真に理解し観行することができず、ましてや証果を得ることなど到底叶わないのである。