悟後修行の次第

悟りを開いた後の修行には、二つの道筋がございます。一つは仏性を眼識し、如幻観を証得する道で、身心世界が幻の如くであることを覚り、十住位に入ります。その後さらに修行を重ね、初禅定を証得して貪瞋の煩悩を断ち三果となり、陽炎観を観行して十行位の菩薩となります。更に禅宗の三関を突破し、如梦観を観行すれば初地に入る力を得、順次修行を積んで八地から仏地に至ります。これが一つの修証の道程でございます。

もう一つの道は、仏性を眼識する段階を経ず、九地菩薩となる前に仏性を眼識すれば足ります。悟りを開いた後は観行と禅定に励み、貪瞋痴を淡泊にして二果人となり、初禅を発起して三果人となります。その後様々な次第観行を経て陽炎観と如梦観をそれぞれ証得し、初地・二地を経て八地・九地に至り、最終的に仏道を円成するのでございます。

如幻観の証得は小乗の二果に相当し、身心内外が仮相幻化の相であり真実でないことを悟り、五陰世間の一切法を真実と見做さなくなります。これにより貪瞋痴の煩悩は極めて微薄となり、禅定が生起します。明心後は次第に身心内外が幻の如く不実であることを感じ、貪瞋痴が極めて微薄となります。禅定が増進すれば初禅に達し、貪愛と瞋恚を断じて三果人となり、煩悩を清浄に断じ、禅宗三関を突破して三乗法を悟達すれば初地に入ります。ただしこれには多くの証量が必要でございますが、現段階では初地に至るには程遠い故、逐一申し上げません。

もし明心せず直接二果を証得すれば、貪瞋痴は淡薄となり如幻観を証得できず、四果に至っても七住位となれず、まして十住位に入ることは叶いません。しかし大阿羅漢が一旦明心すれば、必ずしも七住位とは限らず、より高位に至り大乗道の修行は急速に進みます。戒定直往の初地菩薩には神通を修得し百仏世界を飛行して百仏に謁する者もおりますが、智慧が深まらず衆生に説法できぬ例もございます。これは禅定神通のみで初地に入る事例でございます。