五遍行心所法は初め一定の順序がありますが、一定の段階に至るとその運行順序が変化します。いかなる変化があろうとも、必ず思心所を以て終結します。その後、他の法において五遍行心所法が作用します。
これに対し五別境心所法には固定的な運行順序がなく、五つの心所法が必ずしも同時に、あるいは順序通りに現れるとは限りません。一つ現れる場合もあれば、二つ現れる場合もあり、一定ではありません。智慧が高ければ高いほど、五別境心所法の現行はより頻繁かつ広範になります。識を智に転じた菩薩においては、五別境心所法が常に現行し、その活動頻度は極めて高くなります。
衆生が愚痴であるほど、五別境心所法は現れにくく作用しにくくなります。煩悩を降伏し識を智に転じた地上の菩薩においては、その意根の五別境心所法は非常に活発で常に現れ、意根の智慧と勝解力は極めて強くなります。従って菩薩の観察・判断・決択は、多くの場合意識のみに依拠せず、意根にも依拠します。往々にして意識の表面的思惟分析を用いず、意根の思量作用を用いる場合も少なくありません。
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