如来蔵なくして一切法なし

なぜ柳は揺れ動くのでしょうか。柳自体が揺れ動くことができるのでしょうか。ある者は柳の揺れ動きを自然現象であり因縁によって生じたものと言い、ある者は風力によるものと言います。しかし世尊は『楞厳経』において「一切の法は自然性にあらず、因縁性にあらず」と説かれました。これはすべてが如来蔵性であるという意味です。如来蔵を離れれば一切の法は存在せず、柳は如来蔵を離れて自ら揺れ動くことはできません。風も如来蔵を離れれば存在せず、ましてや吹き動かす作用を及ぼすことはできません。禅宗の祖師は「心の外に法なし、目に満ちる青山」と説かれました。一切の法は如来蔵心の法であり、目に満ちる青山もすべて如来蔵性なのです。

すべての因縁法は如来蔵を離れて存在することはできません。ゆえに一切の法が自然に存在するとか、因縁によって生じたとするのは戯論であり、実質はすべて如来蔵によって生じたものです。如来蔵を離れた太陽や柳、風や万物は存在せず、如来蔵を離れて自ら作用する太陽や風、柳の揺れ動きなどの現象はありません。これらの現象はすべて如来蔵の大種性自性によって生じた結果であり、同時に衆生の業力因縁を離れるものではありません。

風は四大種の和合によって生じ、風大を主とします。大風が巻き起こる時、なぜヒューヒューという音を伴うのでしょうか。時には怒号のような声さえ発します。大海になぜ荒波の轟音があるのでしょうか。これらの音も物質色法であり、如来蔵が四大種を用いて生じさせたものです。物質色法が絶え間なく生滅することで、いわゆるエネルギーが生じます。地水火風によって形成された大風は、自らの種子の生滅が極めて速いため、風速を形成します。風速は実体ある物質ではなく、物質生滅現象の産物であり、これをエネルギーと呼びます。エネルギーも実体ある物質ではなく、物質生滅現象の産物です。

大風が絶え間なく生滅し、絶えざる運動の仮相を生じる時、いわゆるエネルギーが形成され、他の物体に接触するとその物体に作用します。運動が極めて速くエネルギーが大きいため、両者が遭遇することを実際には衝突と呼び、衝突後は物体の静止または運動状態を変化させると同時に衝突音を発します。風の塊が大きいほどエネルギーも大きく、他の物体と遭遇した際の衝突音も大きく、他の物体の動きをより変化させます。大海の音も同様に生じるのです。

十方世界のいかなる小さな角落も、如来蔵を離れて存在することはできず、自らの作用を持つことはありません。すべては如来蔵の作用です。すべての衆生の如来蔵は刹那も休むことなく働き続け、絶え間なく四大種と七大種を出力し、万事万物を生住異滅させています。役に立たない如来蔵は一つもありません。各如来蔵はそれぞれ独自の領域を持ち、自ら維持する必要があります。また共同の領域もあり、共同で維持し相互に協力しますが、すべてが完璧に調和しているのです。

衆生が生まれる前に、外界の生存環境はすべて有縁の衆生の如来蔵が大種性自性を用いて既に整えており、その後衆生はこの世に生を受け生存します。衆生がこの世に生まれる前から、その如来蔵は長劫にわたり働き続け、世界を完成させた後、衆生はこの世界に生を受けるのです。この星が破壊される前には、すべての衆生の如来蔵は他の世界へ赴き建設に参与し、完成後この世界との縁が尽きると、衆生は転生します。私たちの如来蔵のなす仕事は極めて多く膨大ですが、自らを表に出すことなく、苦労も怨みもなく、名声も利益も求めず、本当に何のためにこれほどまでに働くのか計り知れません。