意識の慧と意根の慧

意根の慧力に関する問題について、意識のすべての智慧は意根に帰着してこそ成功と見なされ、目的を達成し、種子を蓄え、後世に有用となり、最終的に意根の慧力が一切の作用を起こすのである。意根が証果を得るには、初果から四果に至るまで、また心を明らかにするには、初めて心を明らかにしてから成仏するまで、全て意根の慧が作用する。意識の慧の結果とは、意根が識を転じて智と成し、大智慧を具足し、最終的に仏となることである。

意識の慧と意根の慧の区別は、意識が論理的思考・分析・推理の作用を有し、比較的抽象的な思考が可能である点にある。一方、意根は抽象的な思考ができず、具体的で情节を伴い、画像があることを必要とし、現量に近ければ近いほど良く、現実的であればあるほど良い。意根は分析的な思考能力を持ち難く、論理的推理や判断を行うことは困難であり、この方面は意識に依存する。他の現量的事物については完全に自己完結可能であるが、意識の補助があれば最速最善である。故に図文や画像があり、眼前の情节や情景を伴う場合、意根が相応し、意識の記憶は牢固となり、非常に理解し易くなる。これがその道理である。六根が互いに通じ合い用いる時、意根は意識に代わり、五識にも代わる。楞厳経に説かれる大迦葉の円明瞭知が、この道理を明示している。