意根の遍縁体性

眠っている時に「ドン」という大きな音が発生すると、意根が六識を生起させ、人は目覚めます。では、大きな音がない場合、六識は生起するのでしょうか。例えば座禅修行中、意識は静寂を求め音を識別しようとしませんが、意根の慣性作用は止められず、依然として耳元に音が生起し、意識はそれを感知し続けるため、心は空の状態を保てません。覚醒状態で心が静まっている時、耳元のどんな微細な音——最も細やかな心臓の鼓動、呼吸音、虫の羽音、遠くで消えゆくかすかな音——も意識は感知します。

意根は一切の法を遍く縁り、微細・粗大・重大・非重大を問わず全てを縁取します。意識がこれらの法を拒否し忌避しても、意根はこれを現出させ、意識は阻止できません。これが意根の遍縁性、即ち意根の慣性的習気の作用です。意根が一切の法を縁取する要因は、欲望・願力・習気、あるいは強大な境界に抗しきれず攀縁性を生起させる場合など多岐にわたります。意根が法を縁取すると意識が現前し、六塵を弁別して境界相を認知します。

意根自体の境界相認知機能は劣っているか。決してそうではなく、天災人禍の予兆を意識心が知覚せぬ中、意根はこれを察知し、避難行動や恐慌反応を引き起こします。時に意根は未来事象を意識に伝達するため、夢中や禅定中に識別させます。これらは意根の機敏さを示すものです。意根が警覚しない限り、意識心は全く感知しません。

意根が未来を予知するのは如来蔵に依拠した単独作用であり、六識の関与はありません。意識は意根が夢を通じて伝達して初めて認知します。座禅中、意根は過去世に遡り、前世の債務関係等の重要・非重要事象を意識に現出させます。ここに意識心の参与はなく、意根が単独で如来蔵を依り所として働く時、六識心を必要とせず極めて機敏に作用します。

意根の法は極めて微細です。禅定力・智慧・現観量が極めて優れた者でなければ、この細法を徐々に顕現させることはできません。禅定と智慧を欠く者は粗相の表層で浅い観行しか行えず、心が粗雑な者は表層の観行すら困難で、まして細法に至っては尚更です。