解脱の心をいかに生起すべきか

心の機能は受・想・行・識の作用であり、識別し分別し、執着し、感受し、選択する働きです。一切の法に対して喜怒哀楽や憂い悲しみ苦悩を生じさせるこれらの機能作用は、全て如来蔵の識種子によって引き起こされます。七大種子が送り出されると、七識の心行と六塵の境界は泡の如く現れます。無始劫より意根は常に泡を掴んで無常相を常相とし、苦空煩悩相を楽相とし、五陰無我相を我相とし、六塵六識の不浄相を浄相とし、これらの泡を全て我や我がものと執着し、苦・空・無常の法を我及び我がものと執着してきたのです。

これらの法を掴む故に、意根は三界を離れ解脱を得ることができません。この道理を理解した後、この世では解脱の心を起こし、これらの法が如何に虚妄で実体のないものであるか、どの因縁で生じどの因縁で滅するかを努力して知り、無常無我の幻化した有為法を再び執取すべきではありません。一切の受覚たとえ楽受であっても無常であり留めておくことはできず、境界相が来れば楽受が生じ、境界相が滅すれば楽受も滅します。一つの受も、一つの法も、常恒に存在して変わらず滅しないものはありません。

六塵は全て脳裏に現れる虚妄の影です。私たちは皆これらの影を執取して様々な受と想を生じますが、影が真実でないように、生じた受と想も同様に真実ではありません。全ての法は刹那刹那に絶えず生滅しており、過去は既に過ぎ去り、現在は瞬く間に過去となり、未来はまだ来ていません。意根は過去・現在・未来のいかなる虚妄相をも掴むことができないのです。

世間には元よりその人その事その理は存在せず、世間そのものも存在しません。まるで鏡の中の影に向かって泣き笑いし、心を動かし念を起こし、種々の業行を造作しながら、向き合う全てが虚妄の影に過ぎないことを知らないのです。狂った犬が鏡に映った自分の影に向かって吠え続けるように、愚かな猿が湖面に映った月の影を掬おうと水に飛び込むように、衆生はこのように愚痴なのです。愚痴から脱し智慧の解脱を得るには、真理と真実を認識し、一切の法を執取せず、我執と法執の二つの執着を断じなければなりません。