禅定における六識の現量了別

禅定における六識にも現量了別があり、未到地定においては六識がすべて存在し、現在に存在あるいは顕現している六塵の境界を現量了別することができます。その中で身体の軽やかさ、高大さ、快適さ、伸びやかさなどの状態は、身識と意識が共同で現量了別するものであり、内心の空霊さ、虚脱感、清浄な感覚は意識心単独の現量了別であり、独頭境界に属します。意識は智慧不足あるいは禅定の知見不足により、禅定の境界を完全に現量了別できない場合、比量と非量の了別が存在することになります。

初禅定においては、意識と眼識・耳識・身識の三識が共同で色・声・触・法の四塵を現量了別し、意識は単独で内心の軽安・喜悦・静寂・空幻などの感覚を現量了別でき、定境法塵を単独で現量了別することが可能です。意識は比量と非量による定境法塵の了別もあり得ます。二禅の定境においては意識のみが単独で存在し、前五識は存在しないため、二禅の定境では意識が単独で深細な定境法塵を現量了別します。この時意識の現量了別は極めて深細であり、ほとんど自らの了別を感じられず、内心に知があることも感じられず、深い喜悦と快適さもほとんど感じられません。あまりに深沈なためです。この境界においては意識の比量と非量の了別は存在せず、乱れた幻化的な定境が現れないため、意識は無覚無観の中にあり、すでに思惟分析の活動を失っています。