六識の現量了別（五）

色身における触塵を感受する際、身識は第一刹那に現量で触塵の粗い相を了別し、意識は第二刹那に現量で触塵の微細な相を了別します。その後、両者が同時に再び現量で了別を行います。ただし、接触する触塵が極めて特殊な場合、身識と意識がそれぞれ一二三刹那を了別すると、直ちに触塵から離れ、再び接触することができなくなります。例えば身体が火に触れた時、身識は直ちに熱さを感じますが概念はなく、意識は即座に火の熱さの程度を了別します。分析や比較、思惟する間もなく、意根が即座に判断し、火元から離れることを決定します。これは意根が身根と身識・意識の了別に縁って行う現量了別であり、直接「避ける」という決定を下します。ここでの身識・意識・意根の三識は全て完全な現量了別であり、比量や非量の了別は存在しません。意識が比量や非量を了別する間もなく、意根が即座に回避を決定するため、身識と意識は火の触塵の上で直ちに消失します。

また例えば指が偶然針の先端に触れた場合、身識と意識は共に第一刹那で痛みを了別します。意識が思考分析して決定する間もなく、意根が直接に手を引っ込める決定を下すため、手は突然震えます。ここでの三識は全て現量了別であり、意識の比量や非量の了別は存在しません。既に回避する間もないためです。指が針先から離れた後、意識が再び先程の突発的な状況を了別し続けることで、状況を理解します。つまり不注意で指が針先に触れたことを知るのです。この時初めて意識の比量と非量の了別が生じます。比量了別は正しい了別となり得て正しい結論を導きますが、非量了別は不正確な了別であり、事実と完全に一致しません。