意根の法は意識より深細なり

眠っている時、布団が重いと感じると、自動的に寝返りを打ちますが、その時自分は気付いていません。この時、身識と意識は存在するのでしょうか。寝返りも識の機能作用です。根は本来、受動的な受信器や伝達器であり、識がなければ根は木石同然です。意根が寝返りを打ちたいと思うと、六識が現れて身体を動かします。この時、微弱な身識と意識が存在します。なぜ意根が主導権を握って寝返りを打つのでしょうか。布団の重さを了別したからです。意根がこの法塵と接触し、身体への影響を認識すると、身識と意識を喚起して了別させます。身識と意識が重さを感じると、意根は寝返りを決断し、身識と意識が共同で寝返りを実行します。もし寝返りの回数が多ければ、睡眠の質が低下し、翌日身体の疲労を感じます。六識が頻繁に現れるため、身体が十分に休息できないからです。もし睡眠中の寝返りが六識の作用でないなら、昏睡状態で意根が身体を動かそうと思えば動かせるはずですが、実際は昏睡時には身体は動かせません。意根が常に身体を動かして意識を回復させようとしても、実現できないのです。

夜中に寝返りを打つ時、身体の疲労により意識心が弱まっていると、自身の動作を内観できない場合があります。意識心の強弱の程度によって、内観力も異なります。そのため、自らの夜中の状態や行動を把握する人もいれば、全く気付かない人もいます。気付かない時は深く眠れて睡眠の質が良いのですが、意識の迅速で微弱な了別作用は存在します。意識が微弱な時は、自らの存在や動作をほとんど感知できず、意根の作用が顕著になります。意根が直接了別する内容は、多くの場合、意識心が必ずしも知ることがなく、また意根には名言がないため、表現することができません。

意根は全ての法を黙って包含しますが、意識はそうではありません。従って意根の了別する内容は常に意識より多く、はるかに深微です。故に意根の法は意識より深微で重要であり、成仏の可否は意根にかかっています。意根の作用自体を単純或いは複雑と評することはできません。意根の了別作用は未熟で、自らが法塵に触れ法塵を了別する作用を内観分析できず、法塵が余りに重要であるため、自らでは了別しきれず、意識を喚起して了別させるからです。