六識が了別する内六塵は、実四大種子より成る色法であり、これを性境と称す。性境に依って現起する幻境は帯質境なり。
五識の縁ずる所は性境にて、現量にて了別す。意識の縁ずる所には性境・帯質境・独影境あり、現量・比量・非量の了別あり。意根は第八識の見分を己れの見る所と為し、第八識の現起する一切法を悉く己れの所有に属すと為す。これは錯知錯執にして、故に非量の了別なり。
意識の縁ずる帯質境の例は次の如し:目をこすって現れる第二の月、実に第二月無く唯一月あるのみ。第二月は即ち虚妄の帯質境なり。意識が闇夜に遠方の灯を鬼火と為す、実に鬼火無く灯あるのみ。鬼火は即ち虚妄の帯質境なり。意識が見る縄を蛇と為す、実に蛇無く縄あるのみ。蛇は即ち虚妄の帯質境なり。意識が某甲を見て某乙と為す、実に某乙無く某甲あるのみ。某乙は即ち虚妄の帯質境なり。
2
+1