如来蔵を見いだす最も適切な方法は、風を探すようにその作用から痕跡を発見するが如く、如来蔵もまたその痕跡から認識されるのであります。如来蔵は形跡なく遍在するが故に、その御姿は界中に隠れることなく、至る所に影を留めながらも本体は見えません。四大種の作用から如来蔵の痕跡を窺い知るは難く、識大種の作用に依って初めて如来蔵の運行の相を悟り得ます。これぞ唯識の説の所以なり。かくの如き悟りは六識の上に成り、最も利根なる者は第七識たる意根の上に悟りを開きます。これは深層に達する悟り、究竟の悟り、根本の悟り、徹底的なる悟りであり、唯識宗の悟りであって、浅薄なる禅宗の悟りではございません。
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