諸仏の一切種智成就の過程

金には金性があり、金は如来蔵に相当し、金性は如来蔵の性質、即ち真如性に相当します。金鉢や金碗、金の装飾品は金から作られており、全て金性を有し、あるいは全て金性そのものであると言えます。同様に、如来蔵から現われた一切の法には真如性があり、つまり如来蔵の性質を具えているのです。

金鉢や金碗が金で作られていることは知っていても、初めのうちはそれが100％純金で作られ、内外の微塵に至るまで全て金であり、金の属性を具えていることを知りません。長く接し、金鉢や金碗を絶えず観察検証する中で、金の属性について次第に理解を深めるにつれ、金鉢や金碗の含有量と純度をますます確信するようになり、遂には金鉢や金碗が全て純金で作られ、100％金であり、金の全属性を具えていることを完全に検証するに至ります。

この過程は、如来蔵を証得した後に総相智・別相智・道種智、そして一切種智が生じる過程と同様です。五蘊において初めて如来蔵を証得した段階は、金鉢や金碗が金で作られ一定の金性を含有していることを知ったばかりで、金の純度が何割かをまだ知らない状態に等しい。別相智が生じた後、諸法の中の如来蔵を仔細に観察検証する中で、次第に諸法が具える如来蔵の性質を多く観じるようになります。さらに観察を続ける時節に至れば、諸法が一分の如来蔵の真如性を具えることを証得し、この時に初地に入るのです。

諸法において更に観察検証を続けるならば、一切の法が円満に如来蔵の真如性を具足していることを証得し、十分の真如性、満分の真如性を証得します。満眼が真如となるこの時に至り、一切種智を具足して仏となります。惜しむらくは、金を識らない者は器のみを見て金を見ず、貧しい流浪者として金を守りながら乞食して生きるほかなく、実に憐れむべき存在です。凡夫が身中の如来蔵を守りながらこれを識らず、五蘊身のみを認めるならば、六道輪廻に留まるほかなく、さらに憐れむべきこととなります。