原文 :賢護よ。その福徳に勝れること、諸大天神の著する所のものは、即ち好香の花を須い、衆なる名香を焼き、香り美しき飲食を清浄に安置し、祭り解く供具は、ことごとく華やかに清潔ならしむべし。かくの如く此の識、福徳の資たる者は、便ち尊貴なる安楽の果を得る。
釈:仏は説きたまう、賢護よ、もしこの人の色身に諸天の神霊が憑依するならば、天神は香り美しい鮮花を整え、数多の貴重な香を焚き、香り高い飲食物を準備し、周囲の環境を清浄に整え、清浄なる祭祀の供具を安置すべし。これらは全て華麗かつ清浄なるものを用いる。天神は清浄と美麗を好む故なり。阿頼耶識もまた然り、福業の滋養を受け、善業の福果を蔵するが故に、阿頼耶識は五蘊の身に尊貴・安穏・歓喜の果報を得せしむ。
天人らは香りを好み、清浄を尊び、華麗を愛す。その憑依を受ける者は常に香を焚き、芳香を求め、飲食は香り高く殊に清浄ならしむべし。天命を終え人間界に転生した者には、ほとんど潔癖症あり。これは天人の習気を帯びたる故なり。その手は一日に幾度となく洗い、生活環境は極めて洗練されたるを旨とす。実は細菌は洗い落とせぬを知らぬが、習性として洗浄を繰り返し、衣類は常に洗濯し、机は頻りに拭き、微塵の埃も許さず。これ天界にて養われし潔癖、清浄を愛する天人の習気なり。
もし豚や犬より転生せし者あらば、その生活環境を見れば、その家屋もほぼ同様の様相を呈す。ここよりこの者の前世が如何なる衆生たりしか、何道より転生せしかを判じ得べし。また人の習気を観ればその前世の種別を知るに足る。もしその容貌が極めて痩せ、面長ならば、おおよそ前世の種別を推測し得ん。臨終の際、その相貌と生涯の習性を観察すれば、転生すべき道筋もおおよそ判じ得べし。もし人が老いてなお貪欲かつ吝嗇にて、毫も物を人に施さざるならば、この者は必ず餓鬼道に堕つるを知るべし。大多数の者は死後鬼道に赴く。衆生の多くは貪吝の性を有し、鬼道の衆生と相応する故なり。人間界の衆生も多くは三悪道より転生せし者なり。大多数の衆生の習性は三悪道と相応するが故なり。
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