意根と意識の機能作用を区別するのはなぜでしょうか？

両手が一緒に動作する際には、必ず調和が取れ、同じ動きをしなければ動作が成立します。そうでなければ困難を伴います。両眼、両耳、両鼻孔、両足、両脚も同様に、動作の調和と目的の一致あるいは類似がなければ円滑に遂行できず、不調和な動作は容易ではありません。これはなぜでしょうか。両手の動作は脳が発する指令によるもので、脳は意根によって制御されています。意根が何らかの動作を両手に求めるとき、指令が発せられ、両手は同時に動作を開始します。もし意根が左右の手で異なる動作を同時に行おうとするなら、脳の伝達指令は二分化され、意識身識は分流を余儀なくされ、神経系統の連携に負担が生じます。特別な訓練を経ていない限り、これは困難です。

両眼は如何なる訓練を施しても、各々が別々の作意を触発し別々の了別を行うことは極めて困難で、分離が不可能に近い状態です。両鼻孔も分離が難しく、一方が呼気を他方が吸気を行うような動作は、特殊な訓練を経た者以外には困難です。両耳は比較的分離した動作が容易です。両足両脚が個別に不調和な動作を行うことも同様に困難を伴います。この困難さは、それらが一つの根、一つの神経伝達系統、一つの脳指令に属しているためです。難易は意根の注意力と精力の充実度、また六識の精力が十分か否かにかかっています。

意根と意識の機能作用を分離することで、各々の性能をより明確に理解できます。混在させたままでは、いずれの識の特性も明瞭に把握できません。意根と意識の機能を分離した後、意根を単独に観察すれば、意根が持つ特性、煩悩、習気、心所法を自ら認識することが可能となります。他人の言葉を反芻する必要なく、自らの力で真実の状況を観察する能力が備わるのです。