同類事物の類比が比量ではなく現量であると言われるのは何故でしょうか。例えば人類は、必ず同じ特徴を具えており、単独の個人も人類と共通点を持っています。この人物を再び同類と比較しなくても、この人物が確かに人間であり他類ではないと判定できます。新生児が誕生する時、比較することなく人間であると分かり、母胎内においてすでにこの子が人間であって他類ではないと知られます。このような知は現量の知であって、比量知ではありません。
金型から生産される製品は皆同じ特徴を持ち、一つの特徴を知れば他の製品の特徴も分かります。この知は現量知であって、比量知ではありません。
もし同類の間で比較を行い、両者の差異を知るのであれば、それは比量による知です。例えばある人物の背丈の高低が分からない場合、別の標準的な身長の人物と比較し、大多数の人々と比べた上で初めて知ることができます。これは比量による知です。ただしこの比量知の結果は、正しい場合も誤っている場合もあり、つまり結果は現量である可能性も非量である可能性もあります。
比量で人物の背丈の高低を知る者は、現量で知る者ほど聡明ではありません。現量知を持つ者は、人物に遭遇した瞬間に経験と智慧に基づき判断でき、比較衡量を必要としません。比較衡量を行うということは現量の智慧がなく、観察力と判断力が不十分であるため、やむを得ず比量に頼るのです。もし現量による判断結果が事実と合致しないならば、それは現量ではなく非量であり、その者の智慧も不十分であるか、過信に陥っていることを示します。これは比量を用いる者の謙虚で慎重な態度に及ばないと言えます。
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