法塵と五塵の一つが和合して初めて単独の塵境を成す。法塵と五塵は分離不可の関係にあり、分離すれば一切の存在が消滅する。色も声も香も味も触も法塵も存在しなくなる。法塵と五塵が和合して成る塵境において、法塵が占める比重は極めて大きく、ほとんど法塵が主体をなす。例えば色塵の場合、色彩は五塵境に属し眼識が了別するが、それ以外は全て法塵であり意識が了別する。二つの識の了別が合わさって初めて色塵の完全な了別が成立する。特に意識による法塵の了別が欠けるなら、一切の存在は成立しない。故に法塵なくして五塵境の存在は不可能であり、一体の塵境に法塵は不可欠である。
例えば人間の色身は色彩と色法塵によって構成される。色彩は眼識が了別するが、その他の要素──高低肥痩・体重・気質・形象・年齢・性格・気性・体質の健全性など──は全て意識が了別する内容である。故に法塵なくして色身は存在しない。衆生の如来蔵が衆生の色身を生じる際、必ず同時に色彩と法塵、声塵と法塵を生じる。これらが衆生の色身の本質境を構成するのである。他者が見る場合も、衆生の幻化境たる自己の内六塵を観るのである。外法塵なく外五塵のみ存在することは不可能であり、単独の五塵境は存在せず、世俗界にそのような法は存在しない。
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