『父子合集経』選講

仏は王に言われた。「その通りである。愚かな凡夫は、聡明でなく智慧もなく、好ましい触れ合いに対して愛楽を生じ、心に染着を起こす。このような業を造る。身業三種、口業四種、意業三種、それらの業を造作する。刹那刹那に移り変わり、この業が滅した後は、東西南北、四維上下、中間にも依らずに留まる。命終の時に至り、先に作った業を見、心に現れる。あたかも目覚めて夢中の事を憶うが如し。最後に識が滅し、自業が現前する」

衆生の間に前世の縁が深く結ばれている場合、この世で出会うと、阿頼耶識が種子を現行させる際、互いに特殊な感覚を抱く。顔を合わせずとも、声を聞き、文字や写真を見るだけで前世の縁、善縁あるいは悪縁を感じることがある。言葉を交わさずとも異様な感覚を覚える。ただ名前を聞くだけで特別な感銘を受ける者もいる。

仏と深い縁を結んだ者は、今世で仏の名を聞くや、心に感動が沸き立ち、身の毛もよだつ。これは前世において長く仏法を学び、仏との縁が深いことを示す。仏縁深き者は仏名を聞くや強く感応し、自発的に仏法を学び念仏し礼拝讃嘆する。前世で仏法を学んだ期間が短い者は何の反応もなく平淡である。例えば仏在世時の印度祇園精舎の給孤独長者の如く、彼は仏の名を聞くや道を歩む際も身震いが止まらず、毛が逆立つほどであった。彼は善根極めて深い仏弟子であり、ただ仏の名を聞いただけで世尊を供養せんと宴を設け、自らの祇園を仏に寄進して精舎とした。

ある者は仏法に触れるや、前世の修行の種子が完全に現行し、忽ち仏法に没頭する。世俗の事は意に介さなくなる。これが種子の力である。阿頼耶識が成熟した業種を現出させることで、この中には極めて多くの奥義が存在する。仏法を学べば多くの真実を知ることができるが、学ばなければ愚痴に陥り悪業を造り続け、損害を受けてもその由を知らず、後世の苦業も尽きることがない。悪業は造り終えて滅びても業種は残留する。最も恐るべきはこの業種である。我々は阿頼耶識に悪業を記録せず、悪業の種子を残さぬよう祈願できるか試みるが、果たして有用か。全く無益である。阿頼耶識は衆生の言語を解さず、心念の内容を知らず、第六識・第七識のような分別作用を持たない。故に阿頼耶識は清浄で無垢、無私無偏である。ゆえに祈願は無駄であり、ただ己が心に回帰し、貪瞋痴に満ちず、それらによって染汚業を造作せぬよう心掛けるのみである。