或る者が阿頼耶識には染浄を有すると説き、転識得智の説があると述べます。実際には阿頼耶識の本体は清浄なる識であり、ただ七識の造作する染汚の業種を蔵しているが故に、阿頼耶識は不垢不浄となるのであります。もし阿頼耶識が七識の染汚の業種を蔵さなければ、阿頼耶識は清浄無垢の識となります。仮に阿頼耶識に染めがあるならば煩悩染汚の業が存在することになりますが、しかし阿頼耶識自体は何ら善業や悪業を造作するものではなく、七識にこそ煩悩染汚があり善悪の業を造作します。したがって七識が煩悩する時に造作する悪業こそが染汚の業となるのであります。阿頼耶識は七識の造作する善悪の業を蔵し、染汚の業種を含有するのでございます。
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