衆生無辺誓い度す
煩悩無尽誓い断つ
法門無量誓い学ぶ
仏道無上誓い成す

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日常開示

2020年03月10日    火曜日     第1 回の開示 合計2198回の開示

盗人の物も同様に窃盗となります

秋に田畑で作物が収穫される頃になると、野ネズミが穀物を盗み、自分の巣穴に埋蔵します。これが彼らにとって冬の間の食糧となります。冬が迫る頃、人々はわざわざ野ネズミの巣穴を探し、彼らが貯蔵した様々な穀物を掘り出して家に持ち帰ります。一つの巣穴から数斤、時には十斤もの穀物が見つかることもあります。野ネズミが巣穴に戻り、食糧がなくなっていることに気づくと、中には絶望して自死するものもいます。そうでなければ冬に食べ物がなくて餓死してしまうからです。野ネズミの食糧を掘り出す行為は、盗みに当たるのでしょうか。

所謂「盗」とは、与えられざるものを取ることであり、所有者の同意を得ずに密かに持ち去り、自らの側へ、あるいは自己の名義下へと移し、自己の所有物とする行為を指します。所有者は必ず有情なる衆生であり、盗人は盗心を抱き、能動的に取得し、その過程で一定の方便手段を用い、最終的に物が所有者から離れ、自己の所在へ至り、盗品を確実に自己のものとします。

野ネズミの行為は盗に該当します。第一に盗心があり、人に知られぬよう密かに持ち去り、第二に口でくわえて運ぶという方便手段を講じ、第三に穀物が田畑から離れ、自らの巣穴に置かれて所有物となります。既に盗であるならば、盗まれた穀物は必然的に野ネズミの所有物となっているはずです。そうでなければ盗には該当せず、盗の成立条件を満たしません。

もし人間が再び野ネズミの巣穴から穀物を掘り出すなら、それは野ネズミの所有物を盗む行為に当たります。もし野ネズミの行為が盗ではなく人類の為の保管行為であったなら、人間が掘り出す行為は野ネズミからではなく、他の者からの盗みとなります。

同様に、盗人が盗んだ物を密かに持ち去る行為もまた盗みの行為です。盗人が一定の方便手段によって物品を自らの所在へ移し、新たな所有者となった場合、元の所有者が変更されていないなら盗は成立しません。他者が再び盗人の所有物を密かに持ち去り、方便手段を用いて自らの所在へ移し、新たな所有者となる行為は盗みに該当します。ただしその過程に他の発心(所有意図のない動機)があれば、必ずしも盗みとは断定できません。

——生如法師の開示
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