楞厳経において「想陰虚妄」を説く際、自らが崖の辺りに立ち足底が痺れると想像すれば、実際に足心に酸澁が生じます。梅干しを想う時、口に自然と涎が溢れます。これら全て妄想念であり、境界に欺かれたのです。我々が触れる六塵の境界を、悉く自己のものと見做す故、六塵境界に拘束され自由を得られません。無始劫より、我々は自らを惑わし、自らを欺き続け、その果てに甚だ悲惨な結果を招きました。無始劫より色身を我と見做すが故に、色身に拘束され自由を失い、苦悩は際限なし。これ皆妄想念の祟り、虚しく生まれ浪々しく死する所以であります。
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