原文:即ち此の説く所。高きに臨む想心は。能く汝が形をして。真に酸澀を受けしむ。因の受くるに由りて生じ。色体を動かすことを能う。汝今現前に。順益と違損との二つ現れて駆馳す。これを虚明第二妄想と名づく。
釈:先に述べた崖の上に立つ自己を想像する虚妄の想いが、汝の足裏に真実の酸っぱく渋い感覚を生じさせ得る。内心における感受の発生によって、色身に変化を促すことが可能となる。例えば先に述べた二種の現象の発生は、汝の心に酸物と崖が目前にあるかの如く感じさせ、それによって身体に変化を生ぜしめる。汝が今遭遇する身体を益する順境における快適感と、身体を損なう逆縁における苦痛感、この二種の現象を虚明第二妄想と称する。
これは受薀が虚明妄想であり、また妄想の誤謬であることを示す。故に真実ならず。受薀に執着すれば生死輪廻の苦あり、煩悩より解脱すること得ず。
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