これは行蘊が幽玄隠微にして覚え難き妄念であることを説くものであります。幽とは幽玄なる秘密、隠とは隠蔽を意味し、共に色身の生滅変異の現象が人に覚知され難いことを指します。これらの現象は主観的な識心によって制御できるものではなく、業力の関係により、身体が時の流れに従い現れる種々の変化であります。もし業力が消滅すれば、不老不死となり永遠に若々しくあることができ、例えれば極楽浄土の衆生や欲界・色界の天人の如きものであります。
幽隠の妄念もまた妄念であり、感じ難き行蘊も妄念の所産であります。念念として遷流止まらず、前念は生じ後念は滅し、微細な波の如く暗々裡に流転し、生老病死は絶え間なく続きます。もし妄念を滅すれば行蘊は生ぜず、涅槃寂静となり、常楽我浄の境地に至るのであります。
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