もし心にこの強い自我があるならば、思うことが必ずしも実現するとは限らず、望まないことが避けられるとは限りません。人間の行いは往々にして自らの望むことと正反対となります。例えば、人は皆長寿で健康で幸せであることを望みますが、実際に為しているのは自らを不健康にし不幸せにする行為です。殺生や肉食をすれば、どうして健康で長寿で幸せになれるでしょうか。人は皆自由自在に解脱することを望みますが、自我に固執して放さなければ、どうして自由に解脱できましょうか。
人は皆富貴に栄えることを望みますが、常に意識的あるいは無意識に盗みや強奪をしていれば、どうして富貴に栄えられるでしょうか。人は皆他人から尊重され大切にされることを望みますが、傲慢で他人を見下し尊重しなければ、どうして他人の尊重を得られるでしょうか。人は皆至高の権利を望みますが、常に他人の権利を奪っていれば、どうして自らが権利を持てるでしょうか。
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