『摩訶般若波羅蜜経巻第二十五』原文:仏は須菩提に告げたまわく、その如く、その如し。もし菩薩摩訶薩が二相を行ずるならば、阿耨多羅三藐三菩提無し。もし分別して二分を作すならば、阿耨多羅三藐三菩提無し。もし二ならずして諸法を分別せざれば、これ即ち阿耨多羅三藐三菩提なり。菩提は不二相・不壊相なり。須菩提よ、菩薩摩訶薩の阿耨多羅三藐三菩提もまたかくの如し。中を行ずるを取らず、中を捨つるにあらず。いわゆる色の中を行じ、乃至一切種智の中を行ず。
釈:仏は須菩提に説きたまう、まことにその如く、真実その如し。もし菩薩摩訶薩が心に二相を有するならば、法を見る時なお世間相を認め、世間相ことごとく実質相・根本相たる菩提相ならざるを見ず、一切法皆真如なりと証得すること能わず、故に阿耨多羅三藐三菩提を成就すること能わず。
もし諸法を見る時、諸法の不二相・菩提相・如来蔵相を見ることを得ば、則ち阿耨多羅三藐三菩提を成就することを得ん。菩提そのもの、如来蔵の本体は二相無く世間相無く壊滅相無し。心もしこの種の菩提に随順することを得ば、則ち阿耨多羅三藐三菩提を成就することを得ん。
須菩提よ、菩薩摩訶薩が菩提行を成就するもまたかくの如くすべし。法を取着せず、また捨てず、法に対し取捨せず迎拒せず、諸法を観ずるにことごとく生滅せず増減せざる菩提法相たるを待ち、二相無く異相無し。一切色法の中に於いて自らを修練し、皆かくの如く観行し、一切種智の修行過程に於いてもかくの如く観行し、最終的に阿耨多羅三藐三菩提を成就することを得ん。
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