菩薩の十無尽願

諸仏が世に降誕して衆生を普く救済される際には、八相成道を示現されます。その内容を要領よく記憶すべきです：兜率天宮より降生、入胎、住胎、出生、出家、成道、転法輪、涅槃。よって仏は必ず出家者であり、僧侶の数に属し、在家者ではありません。仏は華厳経において菩薩に十種の無尽の願いを発するよう教えられ、その一つの願いとして、菩薩は必ず広大なる神通力を具えるべきであり、これは必修の内容であります。神通力がなければ、自ら成就できないばかりか、衆生を教化することもできません。ただし神通力は入地して後に修めるのが最良であり、開悟後に修めても非常に困難であり、それ以前には修めることを推奨しません。

菩薩の心量が狭小であれば、このような広大な誓願を発することはできず、仮に発したとしても実現できません。心量の大きさに応じて菩薩の事業も大きくなります。我々すべての衆生が未来世でなすべきことはただ一つ、自らを度し他を度すことであり、生々世々にわたってこのことに専念し、すべてが仏事であり、三界の世俗的な追求は一切ありません。今から自らの心を訓練し、できる限り世間の相に執着せず、世間的な個人の利益を求めず、世間の生存利益のために他者と争わないよう心掛けるべきです。財・色・名誉・飲食・睡眠、色声香味触、家親眷属を含む一切のものに対し、心において可能な限り捨て去ることで、心が空浄となり広大になります。如来蔵の如き広大さに至れば、究極に達するのです。

衆生界が尽きて初めて、我が願いも尽きます。衆生界は果たして尽きるのでしょうか？いつ尽きるのでしょうか？経典に記されているように、かつて仏に「衆生界は尽きるか、衆生は救い尽くされるか」と問う者がいましたが、仏は答えられなかったようです。仏がご存じないからではなく、衆生の数が実に無量無辺で数え切れないからです。各菩薩の任務は極めて膨大であり、たとえ仏となっても永遠に衆生救済の事業に忙殺されます。十方世界の無量無辺なる衆生、仏も菩薩も仏法もない世界はあまりにも多く、それらの世界の衆生は非常に苦しんでおり、我々菩薩が発心して救済に赴くのを待っているのです。

将来衆生を救済する能力を得た際には、一切を衆生のために考慮し、個人の私利のために争ってはなりません。菩薩同士が眷属問題や名声地位を巡って流血の争いをすれば、それらの衆生はどうなるのでしょう？往昔に発した菩提の大願はどこへ消えたのでしょうか？今から大願を発することで、未来世において菩提心を忘失せず、一切を自己の道業成就と衆生救済のために用い、世俗的利益を求めないようにすべきです。

衆生の善根福徳が熟さなければ、仏法に遇うことはできません。我々は皆、衆生のために善根を植え、彼らの善根が早く熟するよう尽力すべきです。もし衆生の善根が熟さず福徳を欠くならば、たとえ仏が眼前に現れても無益です。もし衆生界が尽きて衆生がいなくなれば、仏が仏国土を何に用いるというのでしょうか？仏が無数の仏国土を成就されるのは衆生教化のためであり、衆生がいなくなれば仏は形を留めて住世されるでしょうか？そのようなことはなくなり、仏国土も無用となります。未来の情景を見据えるならば、今何を争う必要がありましょうか。一切の法は空であり、臨時に用いれば足りるのであって、貪著する必要はないのです。