禅師方はこう説かれます。「悟った後もなおかつ旧き時の人であるが、ただ旧き時の行いの場ではない」と。その意味は、悟りを得た者は外見的には元と同じ人であっても、その心の行いや徳行などの面ではもはや元と同じではなく、変化し、改まっているということです。もちろん清浄となり、良くなり、徳行と修養が共に向上し、心性がより良く善くなり、純真無垢になっているのです。なぜでしょうか。彼は五蘊無我を証得し、心の地が通達したからです。すでに無我であるならば、一部の私心雑念が除去され、道徳は自然と高尚になり、情操と修養は自然と向上します。物事に取り組む出発点や着眼点、構えに変化が生じ、人の心の行い全体が異なるものとなるのです。ただし人の容貌は元のままであることに変わりはありません。
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