ブラックボックスの中の死

老いと病の後、四大が著しく失調し、再び調和することができなくなると、身体は使用不可能となります。どのように使用不可能となるのでしょうか。身体の五浮塵根の機能が老化し、正常に外六塵を受信・伝達できなくなり、神経伝達システムが老化し、五浮塵根から来る電気信号を正常に受信・伝達できず、大脳及び勝義根のブラックボックスが老化硬化し、神経系統から伝達される電気信号を正常に受信できなくなると、電気信号を統合して仮想的な外相分に相似する内相分の内六塵を形成することができなくなります。

勝義根に内六塵が存在しなければ、六識が生起する縁が整わず、六識は内六塵を弁別することができなくなり、衆生は覚知の機能を失います。意根が左右の手足を失うと、一切の法に対して無力となり、必然的に身体を離れることを決断し、こうして死亡して中有身に入ります。

一旦ブラックボックスが機能しなくなると、根塵が接触せず、六識は現起できなくなり、身口意は現れず、五蘊身の活動は停止します。意根が無力と感じた時、五蘊身は必然的に死亡します。ここに見られるように、勝義根のブラックボックスは極めて重要です。たとえ五浮塵根が完全に正常で、伝達神経も極めて正常であっても、ブラックボックスが正常でなければ、意根は六塵境界を覚知できず、やむなく死亡を選択することになります。実際には選択ではなく破壊されるのです。

ブラックボックスがなぜこれほど重要なのでしょうか。それはブラックボックスが六根・六塵・六識が交接する場であり、五蘊活動の場であるからです。大千世界の内相分はここで生成され、六識はここで生起し、六識は仮想的大千世界に接触し弁別することができ、認知が生じ、覚受が可能となり、仮想の六塵境界を受用することができます。俗語で「生きている」あるいは「生活」と呼ばれます。一旦生きることができなくなったり、生活できなくなったりすると、意根は必然的に再び生きることのできる処所を探し求め、新たな生活を開始するのです。