意識は意根のためにある

意根が水を飲みたいと望むならば、六識は現れて湯を沸かし水を注ぎ茶を淹れ、口に含むまでを成す。意根が水を飲むことを欲しないならば、六識は現れてこれら一切の所作を行わない。意識は永遠に意根に及ばず、決して主君となることはない。意識は生じられた法であり、意根の決断によって出生の有無が定まる従属的存在である。意根に奉仕するため存在し、なおかつ意根を良く奉仕せねばならない。奉仕が不十分ならば、意根は安泰せず、時に情念を起こすこともあろう。意根が真に情念を起こす時、意識は時に不可解さを覚える。意識は意根より理知を有すれど、意根の情動的傾向は意識より深刻なり。意根が某種の音声を聴かんと欲すれば、意識は意根の命令に従いこの音声を分別せねばならず。意根が六識の出現を望めば、六識は即時に現前す。意根が六識の出現を欲せざれば、六識は現れず。意根が六識に如何なる造作を為すことを求めれば、六識は即時にその如く造作せねばならず。