七識所見の色法、なぜ見えるものは真ならずと言われるのか？

色法は五大種子によって構成されるものであり、五大種子は如来蔵においては形も色もなく、七識にとっては空であり見ることができない。無数の五大種子が如来蔵から現れ、一定の法則と比率に従って所謂る色法を構成するが、これらの色法は本来空であり不可視であるべきものである。例えるならば、空気は見えないが、多くの空気が集まっても依然として見えない。また虚空は見えず、虚空が重なり合っても依然として空で見えない。しかし七識心は空で不可視の色法の上に、形ある色法を見出し、空を見ずに世俗相のみを見る。これが錯見である。

如来蔵は形ある色法を見ず、世俗相を見ず、ただ空を見て色法の本体と相応する。故に如来蔵は大智慧を具え、顛倒せず、世俗界の煩悩を生じず、世俗法に染まることがない。見るものが異なる故に染まることはない。七識が染汚を除き煩悩を断尽しようとするならば、再び顛倒を正し、見るものを還元し、空相を見、真実相を見るべきである。そうすれば煩悩と無明は脱落し尽くし、成仏しないことは不可能となる。

故に修行とは真実相を見る方法を求めることであり、意識の見解を見ず、更に意根の見解を見ること、主として意根の見解を見ることである。意根がどれだけの真実相を見、どの程度の真実相を見るかによって、煩悩と無明をどの程度断じるかが決まり、次第に自心仏と相応する。全ての真実相を見る時、完全徹底的に真実相を見る時、無明は断尽し、完全に自心仏と相応する。それは即ち仏である。煩悩を断たずに成仏すると説く者があるが、それは偽りの仏である。偽りを好む者が増えるのは、真の修行に力なき故である。