瞋恚の心が重い原因には、先天的なものと後天的なものがあります。生まれつきそのような性質を持つ場合と、環境の影響や身体の不調による場合、また物事が思うように進まないなどの心理的要因による場合があります。純粋に後天的要因による瞋恚の心が重い場合は、色身と心理状態を調整し、これらの障害が消えれば、自然に瞋恚の心は軽減されます。
先天的な瞋恚に対しては、人や事柄に対処する際に相手の立場を考慮し、相手の視点に立って物事を見るよう心掛け、相手を理解し、できる限り相手の言い分を受け入れ、立場を置き換えて思いやりの心を持つことが大切です。そうすれば相手を理解し許すことができ、相手の苦労を慮り、憐れみの心を持つことで、自然と瞋恚は少なく軽くなります。
瞋恚が生じるたびに、その原因と理由を仔細に観察し、要因を分析して問題の所在を明らかにし、自らに理に適わない認識や観念があれば、これを制御し克服しなければなりません。自我の執着が強いと自覚したならば、五陰無我の理を思惟して我執を制し、瞋りの心を減らすべきです。もし相手や環境に対する批判が強いならば、遭遇する人や事を空観すべきです。瞋恚の習性が現れるたびに、これが煩悩の習気であり、法に適わず、瞋恚の果報を招くものであると心に銘じれば、時を経て必ず瞋恚は軽減されるでしょう。
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