(六)原文:今、我は是の如し。古の仙人の道を得たり。古の仙人の径、古の仙人の跡、古の仙人の去りし処、我は随いて去ることを得たり。これを八聖道と謂う。正見・正思惟・正語・正業・正命・正精進・正念・正定なり。我は彼の道に従い、老病死を見、老病死の集を見、老病死の滅を見、老病死滅の道跡を見たり。生・有・取・愛・受・触・六入処・名色・識・行の集と滅、及びその滅の道跡を見たり。
釈:仏は説きたまう「我は今、古の仙人が修行した道筋、その足跡、その帰処を尋ね得た。この道こそ八聖道なり。正見・正思惟・正語・正業・正命・正精進・正念・正定である。我はこの八聖道に従い、老病死の苦しみを観じ、その集起を断ち、その滅を証し、その滅への道を修めた。生・有・取・愛・受・触・六入処・名色・識・行の苦しみを観じ、それぞれの集起を断ち、滅を証し、滅への道を修めた」と。
原文:我はこの法において自ら知り自ら覚り、等正覚を成じたり。比丘・比丘尼・優婆塞・優婆夷、及び他の外道の沙門・婆羅門、在家・出家の諸々の四衆のために法を説く。彼らは法を聞き正しく向かい信楽し、法の善きことを知り、梵行を増広し、多く饒益を得んがためなり。開示し顕発せしむ。仏この経を説き終えたまうや、諸々の比丘仏の説きたまう所を聞き、歓喜して奉行せり。
釈:我は十二因縁の法門を独自に証知し覚り、他によらず無上正等正覚を成就せり。成仏の後、比丘・比丘尼・優婆塞・優婆夷、並びに外道の沙門・婆羅門、在家・出家の四衆弟子らがこの法を聞き、解脱の法門に信楽し、無明を滅する正道に向かい、この法門の善果を証知し、梵行を増し広め、広く利益を得るよう、古仙人の修証の道を開示せり。仏がこの経を説き終えられると、比丘たちは歓喜して教えを奉じ行うに至れり。
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