研究によれば、突発的な生命の危機に直面した際、恐怖回路が瞬時に脳を支配し、多くの哺乳類(人類を含む)はその場で静止状態となります。これが「フリーズ(定格)」と呼ばれる現象です。定格状態では体内のエネルギーが集中し、周囲のあらゆる情報を全面的に受容する態勢が整います(瞳孔の拡大、目を見開くなど)。このため、事後の回想において、当事者は恐怖感が襲来した瞬間の記憶を異常なほど鮮明かつ詳細に保持しています。しかしその直後の記憶は曖昧となり、完全に忘却される場合もあります。
質問:一、これらの身体現象は誰が掌握しているのか?二、フリーズ状態と禅定による静止は同一か?三、なぜフリーズ時の記憶は鮮明で、その後は曖昧になるのか?
回答:一、意根は如来蔵に随って色身の状況を常時了別し、適宜調整を加えます。また色身を通じて心理的情緒を発現させます。意根が身体を執持する一連の慣性的作用は、先天的本能とも称されます。
二、フリーズ状態は瞬間的な禅定であり、注意力が高度に集中した状態を指し「定住」とも呼ばれます。身体も意識も静止する中、意根は極度に集中して対処策を模索し、危険脱出の機会を探ります。この緊迫した状況下で智慧が生じるのは、まさに禅定の特性と帰結です。定は慧を生じ、定中の意根は極めて敏速に思考を巡らせ、危機を転換させるのです。
三、フリーズ時には意根が注意力を高度に集中させ、より微細な観察力を発揮するため、記憶が鮮明かつ牢固に定着します。しかしフリーズ段階を過ぎて定が消失し心が散乱すると、記憶力は減退し、その後の状況は曖昧化します。
かつて禅師方が悟道した事例では、自らの疑情が頂点に達した際、突発事象に遭遇して霊感が触発され、悟りに至る例が少なくありません。修行者が参禅中に疑情を濃厚にしている時、師匠が突然喝を発するなどすれば、開悟の契機となり得ます。禅堂での坐禅の合間、行者が歩行または小走りしている最中、師匠が急に停止を命じた瞬間にも開悟が起こり得ます。不意を突かれた状況では霊感が生じやすく、このような悟りは真摯な修行の結果です。これは意根が直接体得する悟り(親証)であり、意識レベルの理解を超えます。思考や念慮を巡らせる余地なく、即座に悟る──これが意根による悟りの本質です。
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