親子合集経講話（十二）

内なる地界の堅固性は虚妄にして実体なし

原文：何を以てか此の堅固性を説く。大王よ。この堅固性は相似して立てるも、畢竟この身は潰爛散滅す。唯だ冢圹の中こそ帰趣する所なり。かの堅固性は何処より来たるか。また四方よりでもなく、上下より去ることもなし。大王よ。この内なる地界はかくの如く知るべし。

釈：何故地界に堅固性があると言うのか。大王よ、この堅固性も相似たる仮の安立名前に過ぎず、真実の堅固性で永遠に壊滅しないものではない。この色身は畢竟潰爛し散滅するもので、最終的には荒野や墓場に捨てられ、四大は散滅して跡形もなくなる。色身における堅固性はどこから来たのか。来処なく、去るべき処もなく、色身の東西南北四維上下から来たのでもなく、また四維上下へ去るのでもない。この色身内の地界はかくの如く、来処なく去処もない（これは小乗の説き方であり、世尊は阿頼耶識や如来蔵が四大種子を輸出して色身を形成し、最終的に色身中の四大種子が再び阿頼耶識如来蔵に帰することを明説されていない）。

この羯邏藍（受精卵）中の地性はどこから来たのか。来処なき所より来たり、消滅した後も帰処なし。色身が滅び地性が消えても、地性はどこへ行くのか。去るべき処なく、かくして地性は空・幻化・非実在なり。故に身体の堅固性は真実ではない。堅固性は羯邏藍の時より存在し、やがて色身上の毛髪・歯・皮膚・筋肉・筋骨となる。死後地性が消散すれば、毛髪・歯・皮膚・筋肉・筋骨は全て滅び、堅固性も行くべき処なく、虚空へも去らない。来る時は来処なく、かくの如く来たのである。

しかし実際には全て如来蔵より輸出されたもので、仏はまだこの点を説かれていない。内なる地界はかくの如く生じる。男女和合により意根が受精卵に投胎し、羯邏藍が生じると地界が発生する。地界はかくの如く生滅虚妄なれば、我々は地界に執着すべからず、毛髪・歯・皮膚・筋肉・筋骨や色身を我と見做し、真実不滅のものと見なしてはならない。