意根と意識の関係

根とは依り所であり、例えば大樹は根に依って生じる。子は父に依って存在するが、直接に母より出生する。眼識は眼根に依り、六識は六根に依って生じ、意識は意根に依って存在する。ただし六識は如来蔵より直接に出生し、六根はあくまで六識生起の根本縁に過ぎない。

一切の事柄は根源を究明し、根本を解決して初めて問題を徹底的に解決できる。無始劫以来の生死輪廻の問題、無明の問題、染汚業種の問題を解決するには、全て根源を追求し、枝葉のみに心を用い剪定するのではなく、出生そのものを断たねばならない。枝葉を生じさせぬようにするには、根本を断てば徹底的に解決する。意根こそ意識の根本であり、意根が意識を決定し、六識の方向を定める。意根の問題を解決して初めて六識の問題も解決される。意根の問題解決には意識が先行し補助する必要はあるが、最終的には意根に帰着せしめねばならない。

数多の人々が意根と意識の関係を理解できず、意識を究竟の法と錯覚し、意識にばかり注力する。しかし意識の問題を解決しても意根が未解決なら、意根は依然として意識の修養と造作を決定し、雑草が再び生える如く、結局問題解決に至らない。

かくも単純な道理を繰り返し説き強調しても、心は依然として霧に包まれた如し。心は究竟何ものに覆われているのか。過去に熏習した法に、真に智慧をもって反観し自らの認知を改めることができないのか。菩提の道程において、何故一歩を踏み出そうとしないのか。