念話頭・看話頭・参話頭の違い

看話頭は定力を修めるもので、心を一つの言葉の先頭に住まわせ、文字と言葉を現さぬようにする。定力が不足している時は文字と言葉が現れ、心の中に音声が絶え間なく生じる。これが念話頭である。故に定力がなければ、心の中でひたすら一つの言葉を反復し、定力があれば心の音声と文字の相は消滅する。

看話頭の定力が十分に備わった時、初めて参話頭が可能となり、この言葉の意味を参究する。文字と言葉はほとんど現れず、情思意解に陥ることなく、真の証悟を得られる。定力不足の者が悟ろうとすれば、解悟に留まる。話頭とは真如を指し示す一句であり、言葉の中に秘密を含み、人に疑情を生起させる。疑った後に参究すれば、その秘密を解き明かし、迷いを破って悟りを開く。所謂る話頭とは、心がこの言葉の先頭に住し、この言葉の一字も心に現さず、しかも心頭には言葉全体の意味が懸けられ、意根が参究を自ら解決すべき課題と認識し、捨て去ろうとせず、密かに意識と共に心を用いる。時至れば自然に成就し、秘密を解き明かす。公案を参ずるか話頭を参ずるかは各人の習慣と好みによるが、いずれも迷いを破って悟りを開かせる。

参禅は謎解きではない。まず深遠な仏法の基礎理論を身に付け、参禅の目的、参究の内容と目標、方法、着手点を明確に知る必要がある。理論的基盤を固め、定力も充足して初めて、話頭あるいは公案を参ずることができる。公案を参ずる際には、公案の定義と内容、示唆するもの、得られるものを理解し、公案の要所とその意義を把握しなければならない。定力・福德・因縁が具足した時、参究対象に疑情が生起し、繰り返し疑う中で時至れば、真心第八識を悟得し開悟する。

看話頭は定力を修め、参話頭は話頭の内包を究明する。定力が具足して初めて疑情が生じ、疑情があって参究し、参究後に疑情を解決して如来蔵を証得する。これが開悟であり、話頭に含まれる一切の秘密を知る。話頭と公案の選択は個人差があるが、一般に公案は内容が豊富で方向性が明確、方法が簡潔で思路が活発、取組み易い。参究対象は興味を抱き疑情が深く、突破口を得易いものを選ぶべきである。その前に菩薩の六波羅蜜修行の程度を点検し、条件を充足させてから六波羅蜜を完成させる。六波羅蜜が未完成の内は参禅を急がず、一歩一歩着実に基盤を固める。基礎が堅固であれば、後の修行は順風満帆に進み、障礙なく成就する。