火界と火界の性は共に得ること能わず
原文:大王よ。この火界の性は、生ずるに来る所なく、滅するに去る所なし。生ずる時も本来空なり、滅する時もまた空なり。自性空なるが故に、ただ言葉の説き示す所に過ぎず。かくの如き火界と火界の性は、共に得ること能わず。ただ仏の正智のみ、よく了知し得る所なり。
釈:大王よ、この火界の性は生ずるに来る所なく、滅するに去る所なし。火界は生じる前に来処なく、滅する時にも去処なし。火界の性は本来空なり、空の中から生じたこの有り様は、次第に発展拡大し、滅する時もまた空に帰す。火界の自体性は空にして幻化の如く、実体あるものにあらず、ただ言葉が示す仮相に過ぎぬ。されば火界と火界の性は共に得ること能わず、ただ仏の正智のみが完全に了知し得るのである。
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