念仏を行う際、声が胸腔や口腔の外に流れ出るのは、丹田から内外の身体を巡る気が外部へ運行し、気を放出する過程です。したがって、息を吸い込む時には念仏を唱えることができません。念仏の音の流れと呼吸が衝突するためです。念仏は息を吐く時にのみ行い、息を吸う時は一心不乱に吸気に専念し、注意力を呼吸の過程全体に集中させなければなりません。気がどこに至っても注意力を追随させれば、気血の流れが円滑になり、身心が安楽となり、心が急速に安定します。
吸気は鼻腔から入り丹田まで達し、心力が充分であれば四肢や全身の毛孔にまで巡らせることが可能です。同時に身体の覚受を注意深く観察し体験してください。次に息を吐く際、排出される気は少量で微細なものとなります。全身の細胞が新陳代謝を行い、老廃物を排出するため、これらの廃気は全身の毛孔を通じて排出され、毛孔もまた呼吸を司るのです。
呼吸を伴う念仏法は心と気を一体化させ、身心の調和を図り、気血の流れを円滑にし、速やかに深い禅定を得て、長時間持続させる効果があります。初心者が禅定を修めるにはこの方法から始めるべきです。具体的な念仏の実践方法は『修定と参禅証道』の書に詳述されています。
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